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新井紀子、新井敏康『計算とは何か』

計算とは何か (math stories)計算とは何か (math stories)
(2009/10/07)
新井 紀子、新井 敏康 他

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おそらく高校生か大学生くらいを想定読者として書かれた数学の読み物。主眼は計算とは何かを考察することを通じて、日頃学んでいる数学がそれぞれどう関連しているかのイメージを与えることにある。そして計算可能性の理論へ誘う。

理論と計算は違うという冒頭に出てくる議論(p.vi)は面白くて、最初の動機付けとしてよい。数記号の意味はよく分かっても、どうやって計算するのか分からないものは多い。例えば7.39の平方根と10.22の平方根の和はいくつか。1ラジアンのsinと1ラジアンのcosの和は。π-log52は。これらを小数点以下第二位まで求めるには。

本書では一番平易な複数桁の足し算から初めて、計算のアルゴリズムを追っていく。割り算のアルゴリズム、分数の加減乗除のアルゴリズム、循環小数、円周率、三角関数、対数と続く。これらの計算方法の授業は、概念の意味、式の記法、アルゴリズムの発見、正しさの証明、アルゴリズムの改良の5つからなっている(p.16)。

これらの計算方法を述べた後、テイラー展開(マクローリン展開)が扱われている。ここまではそれぞれに固有の計算方法だったが、テイラー展開は多項式に展開することにより、関数を任意の精度で四則演算だけで近似できる方法として扱われる(p.86,119)。

後は実数の連続性と計算可能性がトレードオフになることが述べられる。まず、どんな実数の大小も比較できるような計算方法はない(p.169-173)。さらに計算可能性理論の概要が展開される。チューリング機械を導入し、universal machineと対角線論法を使って計算不可能な実数の存在を導いている(p.198-202)。計算可能な範囲に実数を限ってもいいが、そうなると実数の連続性が失われるというのが著者の結論だ(古典主義以外の立場からは様々な異論があろう)。計算可能性に限界があることは悲嘆すべき事態に思われるかもしれないが、計算概念の形式化とuniversal machineの発見は、フォン・ノイマン型コンピュータという極めて有効なコンピュータの概念を産んだことを喜ぶべきだと閉じられる(p.209)。ここはちょっと尻切れトンボのような感じだ。

計算とは何かについて興味を持つにはよい本だろう。
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