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伊東光晴、根井雅弘『シュンペーター』

シュンペーター―孤高の経済学者 (岩波新書)シュンペーター―孤高の経済学者 (岩波新書)
(1993/03)
伊東 光晴根井 雅弘

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素晴らしい名著。感銘を受けて読んだ。20世紀を代表するオーストリアの経済学者、シュンペーターについての本。まず最初に伝記的事項が来て、それから彼の経済学の業績の話が来る。この順番は正しい。その特徴的な人となりが知れて、初めてその思想は正しく理解されるだろう。

伝記はとても鮮やかにシュンペーターの生き様を描いている。20代で大著を書き、ドイツ経済学のスターとなった早熟の天才。しかし第一次世界大戦の後に政治に与し、無理解と非難に傷つき、たった一度の政治参加を一年にも満たずやめる。出産で若い妻と子を両方とも失い、相次いで母も失う。失意の中でアメリカへ亡命。ハーバードで教育者として、後世の経済学者たちを多く育てる。だが同じ年の生まれのケインズに名声をさらわれ、弟子はほとんどケインズ派に。尊敬を集めながら、本当には理解されず世を去る。

実に世紀末ウィーンの知識人らしい。厳格な人柄、真摯な学問的態度。他人を評価しつつも、徹底的に批判する。しかしなぜか私生活には悩みが多い。多くの尊敬を集めながら、本当の意味では理解されない。世紀末ウィーンの知識人にはこういう人物が多いのは気のせいか。このような生き様に、個人的には深く感銘を受ける。

華やかに見えつつ孤独なシュンペーター。自らの思想を主張しつつも、冷静に現実を分析する眼。シュンペーターの著書にはそのような複眼的思考が溢れている。思想面での解説も、この複眼性をうまく描いている。帝国主義論の解説はかなりよくできている。帝国主義に賛成するのではないが、資本主義が帝国主義を取り入れていく経済的な傾向性を明らかにする。

最後に少し触れられる、ベルクソンとの関わりは気になる。著者は、科学の限界という点から共通点を見ている。科学は日常の延長線上にある。それでは本当の経済活動は捉えられない。イノベーションを起こす企業家は、そのような反復的日常を越えて、新たなビジネスモデルを直観するのだ。著者は触れていないが、l'elan vitalとシュンペーターの動態的モデルにある種の通底を見ることができるかもしれない。
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