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フェルナン・ブローデル『地中海〈2〉』

地中海〈2〉 (藤原セレクション)地中海〈2〉 (藤原セレクション)
(1999/01)
フェルナン ブローデル

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細分化されているが、国の輪郭がはっきりしない16世紀のイタリア(ピエモンテ地方の側だけでも)について、メッテルニヒの名言を敷衍して、オーギュスト・ルノーデは、イタリアとは地理学的表現でしかない、と言ったことがある。しかし地理学的表現とはそんなに意味のないことであろうか。それは大きな出来事が働きかけ、やすやすと一巡したような歴史的全体の輪郭であり、大きな出来事は言わばこの空間の囚人であったし、この空間を必ずしも乗り越えることができずに、境界という障害にぶつかっていた。(p.272)

第二巻も引き続き地中海とその周辺の地理学的側面について。地中海そのものと島、地中海を取り囲む周辺のサハラ砂漠とヨーロッパ、そして大西洋について。地中海という一つの言葉で呼ばれるものについてさえ、そのプロフィールは実に多様であることが印象に残る。全般的な構造としては、地中海には二つの海盆があって、これらは陸路にせよ海路にせよ、人々の移動を妨げてきた(p.219)。そうした障害は、地中海と大西洋が接するところとなるジブラルタル海峡にも言える。ここは東西の行き来は潮の流れの変化の早さで困難だが、南北の行き来は容易である(p.187-191)。大西洋と地中海の断絶はここに由来するし、現在我々がヨーロッパとアフリカという別のものと考えている二つの地域はもっと親しいものだった。

地中海の島々についても一つ一つ細かく書かれている。島は閉ざされていて資源が限られているため、生活は苦しい。島に蔓延するのは不安定、窮屈、脅威だ。とはいえ島は海路の上にあり、様々な交流の中継点として国際関係に寄与する(p.251-260)。しかしサルデーニャ島の評価が低い。この島は地中海の島々のなかではかなり大きい方だが、孤立しており、重要性は低いという評価だ(p.248-251)。

砂漠については、人間の居住していない空虚な地域であり、移動が主であるという点で地中海と同じという指摘が目に留まった(p.310)。地中海の北部に当たるヨーロッパ地域は、ロシア、ポーランド、ドイツ、フランスという四つの地峡として描かれる(p.313)。こうした地峡は人の交通の制限となることで、「地中海の影響が伝播していく基本的な線を描いている」(p.369)。これらの地峡にそってそれぞれの、複数のヨーロッパが構成されていく。
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