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フェルナン・ブローデル『地中海〈3〉』

地中海〈3〉 (藤原セレクション)地中海〈3〉 (藤原セレクション)
(1999/02)
フェルナン ブローデル

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前巻までの海や陸の地理学的記述を経て、ここではそれらの上にある「空の地中海」(p.386)、つまり気候の記述から始まる。地中海の気候は大西洋とサハラ砂漠の気候から構成される。地中海の気候は案外に同質的であって、小麦、オリーブ、ワインの三位一体は地中海の至る所にある(p.391f)。地中海の各地域は基本的に同じものを作っている。地域ごとの産物の特性があって相補的になるようなものではない。したがって気候不順による食糧危機は一斉に訪れるだろう。地中海は明るく陽気な風景に見えながら、実は農業的には貧しい地域だ。工作されるべく開拓された土地は少ない。また常に手入れを必要とする、人工的に維持される耕作地しかない。地中海には常に食糧不安があって、これが地中海各国の帝国主義的拡大の動機となっていることが指摘される(p.399-406)。

気候に続いて描かれるのは交通について。陸路と海路をどんな品物がどこへ向かっていたのか細かく述べられる。海路については、気候についての箇所で述べられることだが、フランス南西部から地中海へ向かって吹くミストラルがいかに障害になっていたかが印象に残った(p.418)。また16世紀における小型帆船の成功というテーマ。15世紀には大型帆船が多く航海していたが、16世紀には小型帆船が優勢となる。船は航海術や造船術が発展するにつれて大型化しそうなものなので、目を引いた。小型帆船に大砲が搭載されるようになり、海賊を中心として大型帆船を悩ませるようになったこと(p.502-515)。1573年のトルコ・ヴェネツィア戦争が終わった後の物価高騰により、主にヴェネツィアで大型船の建造が困難になったこと(p.518f)。

本巻、そして全体の第一部の最後に都市の話が来る。都市は何よりも力動的な歴史が展開されるところだ。地中海の諸都市はいつも、飢饉と疫病(ペスト)が「手を取り合って進む」(p.558)様が描かれる。地中海の地理学的プロフィールという不変、恒久、安定したものを土台に都市は変動を生み出すエンジンとして位置づけられる。
都市は発動機であり、回転し、活気づき、息切れし、再び前進する。発動機の呼称そのものは、本書の第二部で扱うことになるあの変動の世界へと我々を導く。[...]1500年から1600年の都市の発動機については、順調に点火して前進したと言えるかもしれないが、新しい世紀がはじまるずいぶん前に、加速器が動かなくなった。何もかもまだ前進しているとしても、故障が増え、何やら不審な音が聞こえはじめたのだ。(p.594)

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