Entries

井出祐昭『見えないデザイン』

見えないデザイン ~サウンド・スペース・コンポーザーの仕事~
空間における音の設計を行う仕事をしている著者が、その来歴を含めて多様な仕事の様子を語ったもの。通常言われる楽曲としての音楽とは違って、環境における音楽がいかにあるか。あまり類を見ない発想が多くて話は面白い。

新宿駅の発車チャイムのような話なら、いまは普通の話になっているので取っ付き易い。それでも、駅の騒音のなかできちんと注意喚起をしつつ不快感にならないことや、同時になる他のホームのチャイムと混同されず、それでいて駅全体として統一性を保つなど(p.11f)、ぱっと見るだけでかなり難しそうだ。また木が水を吸い上げる音が木の種類でそれぞれ違う(p.41f)など、自然への目配りも印象的。波の音だけを(海鳴りなどを除いて)録音することの難しさ(p.53f)は意外だ。

音そのものに加えて、指向性や音質の異なる様々なスピーカーへの造詣も深く、技術的にも多くのことが要求されると感じられる。表参道ヒルズの音響設計(p.106-121)などでは、そうした指向性の強いスピーカーを効果的に用いた結果が出ている。

その試みは音楽療法にも及んでいる。テキサス大学付属がんセンターとの共同研究の様子も記されており(p.238-249)、これも意外性があり面白い試みだ。
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/755-6386b23f

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する