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EYアドバイザリー『世界トップ企業のAI戦略』

世界トップ企業のAI戦略
各企業のAIを使った戦略をレポートしたもの。農業、製造業、自動車、住宅、医療という五分野を取り上げる。各分野について主要企業として2社を詳細に取り上げ、その他の企業としてベンチャーから大企業まで特徴的な動きを解説している。特徴としては各会社が出願した特許を見ていることだろう。考えているサービス展開の方向を明らかにしようとしている。

AIは第三次ブームに入ったと言われる。本書では第三次ブームが以前と異なるのは、製品でなくサービスに新しい価値を付与することだとしている(p.3f)。企業が生み出す価値の源泉は、最初は認識系(センサー)・動作系(アクチュエーター)のハードウェアだった。それが制御系(コントローラー)のソフトウェアへ移動した。第三次ブームではさらに、制御系の情報を解析し生かす情報系、そしてその情報に基づいてサービスを展開するサービス系へと価値の源泉が移動している(p.12-16)。これらの、認識系・動作系・制御系・情報系・サービス系の5つにおいて、各企業がどのように競争優位を確保しようとしているかが整理されている。

認識系と情報系の区分はあまり明確でない。認識系でも単なるセンサーでの検知では認識は不可能であって、この場面ですでに情報の解析が必要だろう。情報系だけカッコ書きで(情報の蓄積・解析)と書いてるのが、この区分があまり明確でないことの証左。自動車の事例などでは区分の不明確さが顕著(p.78f)。NVIDIAのTegraは認識系に位置づけられたり、情報系に位置づけられたりしている(p.96)。

住宅分野は知らないことが多かったので、参考になることは多かった。サーモスタット制御のNest Lab社を買収したGoogleによるスマート住宅の構想(p.124-132)など。また医療系では、パーキンソン病などによる手の震えをキャンセルして(手ブレ補正のような技術)、スプーンなどの保持を容易にするLiftware(p.166)に興味を持った。

取り上げている分野が限られていることもあり、AIを早くから大幅に導入しているゲーム業界やeコマース、小売、金融などの話題がない。それゆえ、ほとんどAIというよりもIoTやデバイスの話が多い。AI戦略というよりはIoT戦略の本と言ったほうがよいかもしれない。また、こうしたAI戦略を可能にしている技術を持つ企業の話もあまり出てこない。あくまで、そうした技術を持った企業を使ってサービスを展開しようとしている企業の話だ。
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