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マイケル・ルイス『マネー・ボール』

マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
1990年台後半から2000年台初頭、アメリカの野球球団オークランド・アスレチックスを舞台にしたノンフィクション。映画化もされた有名な本。アスレチックスは選手たちに支払う年俸がニューヨーク・ヤンキースなどのトップ球団に比べて3分の1以下なのにも関わらず、同等の成績を上げていた。本書は、アスレチックスのGMだったビリー・ビーンという人を中心に、そのからくりを描いている。

そのからくりとは、膨大なデータの分析に基づく独自の評価指標を使い、他球団がその価値を気づいていない選手を安く獲得することだ。また、高校時代や大学時代の野球成績に基づいて、将来有望な選手を発掘し、育成した後に他球団に移籍させ資金を稼ぐ。野球選手たちの世界とは違って、球団運営やスカウトの世界は社交クラブだ。そこは旧来のやり方を尊重する忠誠心が問われる。旧態依然とした体質であり、データに基づくドライな判断は求められない。本書に補遺として追加された章では、本書そのものに対する反応がそうした体質を明らかにしている。

もちろんそれまでも選手に対する評価指標は様々なものがあった。しかしアスレチックスは、有効だと感覚的に判断されてきたそうした指標が本当に得点に結びついているのかを検討し、独自の指標を生み出していく。ただ先駆者がいないわけではない。ビル・ジェイムズという人物が細々と自家出版していた冊子が取り上げられている。そしてこうした試みを球団運営で実現させた、ポール・デポデスタを始めとするハーバード大卒などの秀才たち。また、極端に短気で気分野、ワンマン経営者として描かれるビリー・ビーンが因習を気にせずデータに基づいた経営を可能にした。他の球団ではGMは表に出ることはなく、監督にスポットライトが当たる。アスレチックスでは監督もただの駒にすぎない。

ドラフト会議に向けた指名選手の検討、ドラフト会議の臨場感ある記述、データに基づく選手の発掘と育成、ビリーの狡猾な手法が光るトレードの過程。こうした記述はとても鮮やかで、著者の手腕が十分に発揮されている。野球好きには舞台裏を覗き見ているようでとても楽しいだろう。

野球自体に興味のない自分には、後半は飽きてしまった。ポイントはデータ分析ではなくて、それを実際に経営に活かすことができるかどうかだろう。ビリー自体は理論的な人間というより、直情的で直感的。ただし旧来のスカウトたちの直感よりも、データ分析の結果に信頼を置いている。トップ自体がデータ分析ができ、結果を深く理解している必要はない。トップに必要なのは旧習を打ち破ってデータ分析の結果を現場に活かしていくことだ。
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