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石井淳蔵他『ゼミナール マーケティング入門 第2版』


重厚な教科書。マーケティングについて450ページほどで多くの事柄が書かれている。特徴としては、いわゆるマーケティングの本らしくない。STPや4Pといったマーケティングミックスのような話は100ページほどですぐに終わる。その後は、マーケティング施策を直接的に反映できるような組織とはどういうものかといった組織論。また、市場の競争構造の理解。そしてCRMと、狭義ではマーケティングに入ってこないような話題が多くを占めている。

マーケティングとはある意味で企業活動そのものであり、いかに商品を売っていくかは企業の根幹をなす。マーケティングミックスや4Pは、マーケティング活動の内部の一貫性の話。本書は、外的一貫性を多く扱う。それは、マーケティング活動とマーケティング環境の整合性であって、消費対応、競争対応、取引対応、組織対応の4つに分かれている(p.37-44)。

ということで、むしろ経営戦略の本に見える。組織論では職能別組織やマトリクス型組織の特徴が論じられる。事業収益性分析で経験曲線やPPMといった話題が扱われる。こうした論点にも興味深いところがある。例えば、規模の経済性は生産量の関数だが、経験効果は累積生産量の関数だという。経験効果には、過去を反映しているという違いがある(p.155)。PPMについては、導入する理由として成長と資金管理のバランス、長期と短期の経営目標の調和、変化への対応、現場と本社の健全な対話の枠組みという4つが挙げられる(p166-172)。ただしPPMではコア・コンピタンスの戦略的形成はできないというコメント。PPMは基本的に経営資源の配分の話だ。だが経営資源には取引先との信頼関係など、活用と育成の対象となるものが含まれる(p.186f)。

例えば企業が行っている事業をどう定義するか(事業のポジショニングにつながる)という話も。通常はアンゾフにならって製品、市場の二軸で整理するが、本書は顧客、機能、技術の三軸で事業の定義をしたほうがよいとする。それは誰に、何を、どのように提供するのかということだ(p.184)。ただ、機能は技術と密接に関連しているので、提供するものなのか提供手段なのかについては、例えばサービスで考えるとすぐには明確にならない印象もある。

市場の理解については、産業の競争状態と企業の収益性が決まる要因が、競争者の数と規模、参入障壁の高さ、差別化の程度と分析されている(p.240-252)。基本的にはポーターの5つの力に基づく。製品ライフサイクルとその変わり目の話はよくまとまっている。製品ライフサイクルが生成期から成長期に離陸する条件として、デファクトスタンダードの成立と、初期採用者が求める拡張製品、すなわち基本的性能や機能を超えた使い易さなどの便益を備えている製品が確保されること、が挙げられており(p.327-341)、ちょうど自分の必要とする的確なまとめだった。

経営資源を活用するだけではなく、育成することに論点が置かれるのは本書の特徴の一つ。ブランドの分析でも、ブランドを活用することと、経営資源としてマネジメントすることの違いが説かれる。ブランドには、責任の所在を表示して一定の品質を表明する保証機能と、製品を他と区別させる識別機能、さらに、イメージを喚起する想起機能がある。このうち、保証機能と識別機能だけならブランドには資産としての価値はない。ブランドの想起機能こそ、ブランドに資産価値を与えるものであり、これはマーケティング・ミックスによって育成される(p.434-439)。こうしたブランドの育成は、マーケティングの総力戦であって、広告から製品開発、事業ドメインの設定までブランド育成には多岐にわたる長期の活動が必要である(p.446f)。

純粋にマーケティングの本として読むとやや面食らう。経営戦略の本として読んだほうがよいだろう。
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