Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/830-471e1daa

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

恩藏直人、ADK R3プロジェクト『R3コミュニケーション』


ソーシャルメディアが発展普及した現在において、いかにして消費者にブランドを浸透させるか。企業はどのように消費者とコミュニケーションを行えばよいか。広告代理店アサツーディ・ケイが実践してきたものを理論的にまとめたもの。とても見通しよく書かれている。実践において使えるポイントが多い。提示したフレームワークを使って、様々な企業の実際のキャンペーンを分析していて、それぞれの記述は簡潔ながら事例も豊富だ。

これからの時代に求められるコミュニケーションについて、発想のポイントが三つ示されている(p.15-18)。一つ目は「ストック性」。一度の購買行動に至るまでの過程ではなく、購買後の態度や行動にも目を向ける。永続的な関係を維持していくことを目指す。それにより、買い続けてもらうことや消費者間での拡散を狙う。二つ目は「代行」。これは本書の大きなテーマの一つで、口コミなどで消費者が他の消費者に商品の紹介することにより、企業から消費者へのコミュニケーションを一部代行させること。三つ目は「精神性」。これは商品の単なる機能的な部分だけではなく、世の中を良くしたいという消費者の価値観を共有し寄与すること。単に機能のみをうたっているだけでは、消費者との長期的関係は望めない。消費者自体の長期的な価値観と合致することで、商品自体とも長期的関係を結ぶ。

本書が提起するR3コミュニケーションとは、企業(企業そのものだったり、その中の1つのブランドだったり、商品だったり)と消費者の間に、三つのRで表される関係を構築することを目指す(p.64-69)。ポイントは、企業と消費者という二つの登場人物ではなく、消費者の中で支援者(サポーター)という企業のファンを置くこと。文字で書くと分かりにくいが、これら三者の間にそれぞれの関係が置かれる。

企業から消費者へは従来のB to C関係だが、消費者が自分のことのように捉えるというRelevanceが置かれる。その段階は、単なる認知レベルから価値を受け入れた受容レベル、そして確信レベルの三つがある。支援者から消費者はS into C(SはSupporter)関係で、Reputationが置かれる。その段階は、発言、推奨、伝導の三つのレベルがある。企業と支援者の間はB with S関係で、(ここだけかなり一般用語だが)Relationshipが置かれる。その段階は、参加、貢献、共生の三つのレベルとされる。

この図式でいくつかのプロモーション成功例が挙げられており、理解しやすい。それらの事例は、Web上に消費者が参加できる何らかのキャンペーンを設けて、参加したことや経過が消費者自身によってツィッターなどで発信されるようになっており、ネットニュースやソーシャルメディアで取り上げられブランド認知度が上がる、といった事例だ。

こうしたR3コミュニケーションをどうプランニングすればいいかについて、体系立って書かれている(p.128-150)。それは四段階に分かれる。消費者の思考・洞察(インサイト)を捉えること、消費者の購買行動シナリオを作成して接点を特定すること、三つのRをそれぞれ強化するドライバーを設定すること、そしてコミュニケーション効果を測定する指標を管理すること。

消費者インサイトは動的・多層的に捉えることが肝要。ソーシャル(社会全体で問題にされていることや時代の空気など)、コミュニティ(消費者が属するコミュニティの価値観)、メディア(メディア接触による消費者の態度・行動変容)、ショッパー(購買段階にある消費者の心の動き)の四つの観点が書かれている。特にメディアインサイトは、広告代理店であるためか、考察のメインとなる。消費者が生活のどの場面でどのようなメディアに接しているかを押さえることにより、購買行動シナリオ(カスタマージャーニー)のなかでどうアピールしていくかが決まる。

R3コミュニケーションの効果測定については、それぞれのRごとに指標化して計測する。本書にはそのスコアリング結果が購買意向と高い相関を示す(新規購買意向、継続購買意向でそれぞれR^2が0.97, 0.93)ことが書かれている(p.163f)。おそらくその測定方法やスコアリングの仕方は企業秘密なのだろう。結果だけで指標化や計測方法については何も書かれていない。

口コミに関するマーケティングの話は、新しいマーケティング手法として、マーケティングの教科書にも多く書かれるようになっている。本書はタイトルや体裁がちょっと地味だが、この分野について体系立ってしっかり書かれた良書だろう。
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://exphenomenologist.blog100.fc2.com/tb.php/830-471e1daa

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。