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日経ビッグデータ編『グーグルに学ぶディープラーニング』


現状のディープラーニングについての極めて平易な解説で、最初に読む本としてはよいだろう。グーグルの人(主に賀沢秀人、佐藤憲一の両氏)による解説を基にしている。基本的な概念の説明の後は、グーグルにおけるディープラーニングの適用事例、日本の各社における事例、そしてブレインパッドの下田倫大氏によるディープラーニング活用フレームワークが書かれている。

まず人工知能、機械学習、ディープラーニングをきちんと分けて書いてあるのが好ましい。このレベルから混同する議論が多いので、広く普及してほしい。グーグルの事例紹介(p.74-121)は、研究段階のものと実用段階に至っているものが混ざっている。ここは分けた方がよかったのでは。実用段階のものでは、Google Home、データセンターの電力使用効率化、フォト、Rank Brain、Inbox、グーグルアシスタント、翻訳、そしてAPIが挙げられ、どれも簡潔に説明されている。また、ディープラーニングが向かないことについての言及があるのが重要。過学習を防ぐために大量のデータが必要とある。しかしそれは程度の差はあれ、ディープラーニングというより、機械学習全般の話に見える(p.121-123)。

日本の各社の事例では安藤ハザマ、オークネット、エアロセンス、Peach、三井住友カードの5社事例。これらの事例はTensorFlow User GroupやWeb記事ですでに知っているものが主だった。その中では、Speech Recognition APIを使った、Peachの運航情報自動案内の実証実験だけ聞いたことない事例(p.141-145)だった。

ブレインパッドによるディープラーニング活用フレームワーク(p.152-170)はまとまりがよく、参考になる。まず用いられるデータの種類を画像、テキスト、音声、センサーの4種類に分類。これらデータでディープラーニングを活用する目的を、コスト削減、付加価値を高めた新たなビジネス機会を創出、クリエイティブ性の向上の3つに設定している。これら目的は、順々に導入を検討すべきもの。また、ビジネス側の人間、データサイエンティスト、エンジニアの3つを橋渡しする人材の必要性(p..167-169)についてはとても納得した。

ときに、強化学習を教師なし学習に含めている(p.66-68)のが気にかかった。教師ラベルが与えられない点では教師なしだけれども、報酬は一種の教師とも見えなくない。Suttonが書いている通り、どちらかと言えば確かに教師なし学習に近いのだろうか。"Although one might be tempted to think of reinforcement learning as a kind of unsupervised learning because it does not rely on examples of correct behavior, reinforcement learning is trying to maximize a reward signal instead of trying to find hidden structure. [...] We therefore consider reinforcement learning to be a third machine learning paradigm, alongside supervised learning and unsupervised learning, and perhaps other paradigms as well." (Sutton & Barto, "Reinforcement Learning: An Introduction", 2nd ed., p.2f.)
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