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小林昭七『続 微分積分読本 多変数』


多変数の微分積分。いきなりn次元の一般論を展開するのではなく、2変数の場合をほとんどの中心としている。外積の話で3変数に関わるので、そこだけは3変数として展開。図形の表現や、一見して思い浮かばないような反例も豊富。薄い本であるがとても分かりやすい方に入るだろう。

1変数の場合との違いは、微分関数の連続性にあるようだ。合成関数の連鎖律、平均値定理は1変数では関数の微分可能性だけが要求されるが、多変数の場合はそれぞれの偏微分関数の連続性も必要となる(p.18-21)。こうした、1変数の場合との違いにも多く配慮がされている。

他に面白かったのはラグランジュ未定乗数法の導出(p.64-68)がとても分かりやすい。さらには曲線の長さの定義と、長さの存在しない(無限大)の曲線の例(p.146-150)。連続でその微分関数も連続である関数の軌跡にのみ、長さが定義できる。また、3次元空間の曲面の面積は、それに内接する多面体の面積からは定義できないというシュヴァルツの提灯の例と、外接する接平面からの正しい定義(p.154-166)も良い議論。

最終章の線積分、面積分、体積分の関係を扱うグリーンの定理、ストークスの定理、ガウスの発散定理も2変数、3変数の場合で書かれる。最後の最後に外積記号を導入して微分形式の一般論として展開できることが書いてある。これらは多様体論へのつながりを意識して設けられたもの。こうして自然に多様体論、微分幾何学に導かれることになる。
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