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シンディ・アルバレス『リーン顧客開発』


製品やサービスを作るにあたって、実際の顧客に早い段階から接触し、顧客とともに作り上げていくこと。製品開発にあたってのユーザーリサーチとは違う。顧客となりうる候補と会って、実際に顧客そのものを作っていく。だから製品開発と並ぶ、顧客開発というプロセスと呼ばれる。

顧客開発には製品開発と同じだけの時間をかけるべきだ(p.2)。なぜならば、製品を作ってもそれを使う顧客がいなければ、製品開発は無駄になるから。顧客開発を1時間おこなうことで、文書作成、コーディング、設計の作業を5-10時間短縮できる(p.4, 15-17)。顧客開発は、まだ製品のアイデア段階のとき、必要最小限のもの(MVP)を作った時に使う。また、新規開発でなく既存顧客がいる場合や、顧客開発を製品の継続的プロセスに組み込んでいく方法も語られる。

リーン顧客開発は、仮説構築、潜在顧客のイメージ構築、顧客への質問、回答の解釈、学びの取り込みというステップから成る(p.5)。潜在顧客のイメージ構築、すなわちどんな人が顧客になってくれそうなのかを想像することは、年齢や性別など人口調査的なデモグラ情報からプロフィールを想定してはならない。そうすると、実在しない架空の個人の話を作ってしまう(おそらくペルソナ手法への批判だろうか)。それでは、製品購入につながる具体的な生活の場面での課題がイメージされない。製品が解決しようとする課題を持っている実際の人を探し出さなければならない。デモグラ情報よりは、新しいテクノロジーへの感受性をキーとして、イノベーター、アーリーアダプターかどうかを特定したほうが良い(p.27-32)。

顧客に実際にどうインタビューすればよいか。本書はどこでインタビューすべきかの場所から始まって、実際の会話プロットも含めて実に詳細にかかれている。本書のメインはこのインタビューの仕方にある。面白いテクニックとして、話初めの最初の1分が終わったら、次の1分はインタビュアーは黙る、というものがある。沈黙が続いても耐えることで、顧客は話し始めるという(p.110f)。インタビューするとはいえ、顧客が欲しがっているものを知る必要はない。要求どおりに作ったものが失敗することは、非常によくあること。顧客が望んでいることではなく、顧客がどう行動しているか、顧客が抱えている課題に焦点を当てるべきだ(p.119)。顧客は既存の発想や制約に囚われていて(メンタルブロック)、課題は容易に明らかにならない。抽象度を一段上げたオープンクエスチョンをすることで、革新的で破壊的なアイデアを引き出す(p.81)。「魔法の杖の質問」(なんでも実現できる魔法の杖があったら、どうしますか?)で現実の拘束を思考から外すことで、自由な発想を促す(p.90, 121f)。

聞き手はバイアスを持たずに聞かなければならない。相手は本音を言っているのだろうか。「多分」という言葉はだいたい、怪しいサインだ(p.133)。顧客になってくれる人は能動態を使い、ならない人は受動態と仮定を多く使うものだ(p.135)。何人かが一致している行動パターンがあったら、次の人には他の人はそれとは違う行動をしていると架空の話をしてみる。すると、その架空の人とは何が違うのかを顧客は話し始める、というテクニックもある(p.147f)。書ききれないほど豊富に、顧客からうまく課題を聞き出す方法が書かれている。

こうした顧客インタビューで金銭的対価は支払わなくて良いという。なぜなら、お金を払わなければインタビューに応じてくれない人は、そもそも製品が出ても買う見込みのある人ではない(p.55f)。もちろん、コーヒー代くらいは出すべきだ。

こうしてインタビューした顧客の課題を解決すべく、まずは必要最小限の製品(Minimum Viable Product)を作る。MVPのパターンが、プレオーダーMVP、オーディエンス開発型MVP、コンシェルジュMVP、オズの魔法使いMVP、シングルユースケースMVP、他社製品MVPと6つに分けて語られる(p.164-180)。これらはどの範囲までの顧客を対象とするか、手作業をどこまで利用するかなどで分かれる。オズの魔法使いMVPなどは、いわば「ハリボテ」で、ユーザーからはシステムで動いているように見えながら、背後では人手で処理するような仕組み。もちろん、MVPの段階を過ぎれば実際にシステムを実装する。なかなか面白い視点。こうしたMVPに対して、顧客が失望を感じているなら十分なMVPではないが、不満を口にしているなら改善点が得られているわけで、いいことだ(p.189)。
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