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立石博高ほか編『スペインの歴史』


近々スペインに行く機会があるので、いくつか関連する本を読んでいくことにした。まずは基本的な通史の本から。本書はスペインの先史時代からEC加盟までの歴史を扱っている。特徴としては、フランコ政権下でのナショナリスティックな歴史感から脱却しようとしている。それはスペイン民族という一体性の強調からの脱却、キリスト教徒、特にカトリックを中心とみる見解からの脱却、スペイン栄光の歴史からの脱却。よって、本書にはバスクやカタルーニャなどの、各地域の独立した動き、キリスト教徒が発展していく過程でのユダヤ教徒やイスラム教徒への迫害が扱われる。そしていわゆるスペインの「黄金時代」は記述があっさりしている。

スペインのカトリックは、政治的な意味合いで現れている。ローマ帝国後にイベリア半島にあった西ゴート王国は、アリウス派だった。西ゴート王国のレオヴィギルド王は、東ローマ軍に抵抗するべく国内の統一を図る必要性から、アリウス派からカトリックへの改修を模索する。西ゴート王国のカトリック改宗は、レオヴィギルドの息子レカルドが589年第三回トレド公会議を宣言するに至った(p.17f)。

レコンキスタの過程もカトリック側からでなく、中立的な立場で書かれる。むしろ、レコンキスタと並行するユダヤ教徒の虐殺と追放について詳しい。これらはスペイン史の暗部として残る(p.74-82, 86-88)。また、イベリア半島最後のイスラム王朝であるグラナダ王国の記述は興味深い。特に、グラナダ王国で貿易を担ったジェノヴァ商人。グラナダはイスラム王朝ながら、ほとんどジェノヴァの経済的植民地に等しかった。グラナダ王国はジェノヴァ商人の国際的ネットワークによって、貿易が栄えた。グラナダ王国が食糧危機に陥ったとき、西ヨーロッパ中から食糧を運んだものもジェノヴァ商人だった。しかし15世紀前半になって、地中海対岸のマグリブ地方の政治混乱、ポルトガルのアフリカ西岸進出による、トランス・サハラからギニア沿岸への貿易ルート変更によりグラナダ王国の貿易は衰微。15世紀半ば以降、ジェノヴァ共和国の通達もあり、ジェノヴァがグラナダから手を引く。このことはグラナダ王国にとって死亡宣告に等しかった(p.43-46)。

スペインは各地域の緩やかな連帯の状態を長く続けた。カスティーリャ、アラゴンのカトリック両王期、続くハプスブルク朝ともに各地域の法や習慣を尊重する多元性を容認している。これは中世的なものと評される。ただし、多元性の容認とは言え、キリスト教以外の共同体を認めなかった。ユダヤ教徒、イスラム教徒はたとえキリスト教に改宗してそれぞれコンベルツ、モリスコとなったとしても、「純粋な」キリスト教徒ではないとして差別された。一族に一人でも「純粋な」キリスト教徒でないものがいれば、一族全体が劣るものとされた(p.140-144)。

中央集権への試みは18世紀のブルボン朝から始まることになる(p.106)。それに向かう過程は国内の大きな混乱を生む。17世紀初頭のハプスブルク朝のフェリペ4世治世下において、中央集権を目指した寵臣オリバーレス伯公爵の失敗が目につく。30年戦争に向けて各地から平等に徴兵を行ったことは、多元性を尊重したハプスブルク朝の時代に合っていない。各地から反乱が起こり、1640年代に内政の危機を迎える。スペインの威光を取り戻す様々な試みが行われるも、いずれも失敗に終わる(p.112-116, 120-)。スペインの黄金時代は過ぎており、フランス優位の時代へ移行。かくてブルボン王朝となる。

資本主義が普及していく流れにスペインはいま一つ乗り切れない。ここに、蓄財をユダヤ的であるとして忌避する風潮が、スペインでの資本主義誕生を遅らせる一因となったことが述べられる(p.122)。また経済は、自由主義と絶対君主政を巡る19世紀前半の混乱で大きな打撃を受ける。自由主義と絶対君主政の対立は経済だけでなく、行政の非効率を生み、財政を圧迫。近代国家の形成基盤が蝕まれていく。自由主義者は1868年に国女王イザベル二世を亡命に追い込むも、選挙では王政支持派が勝ってしまう。最終的に1873年に共和制が宣言されるも、一年弱で軍のクーデターにあい、あえなく終わる、といった混乱ぶり。1875年、王政復古でアルフォンソ12世が就いてからつかの間の安定を得る(p.163-169)。「スペイン独立戦争」として語られるこれらの過程は、本書では自由主義と絶対君主政を巡るスペイン国内の対立として描かれている。ここには反フランス闘争はあっても、「スペイン国民」なるものは幻想でしかない(p.173-179)。

そのあとは、1931年に共和主義者が支持を得て共和制が樹立されるとアルフォンソ13世は亡命し、第二共和制となる。しかしフランコの反乱にあい共和制は瓦解。フランコ政権による独裁の時代へ移行する。
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