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河本薫『最強のデータ分析組織』


素晴らしい一冊。著者が大阪ガスで築いてきたデータ分析チームの軌跡。組織のマネジャー就任から18年をかけて、ハード面・ソフト面からどのようにデータ分析チームを形成してきたが書かれている。もともとデータドリブンではない会社、技術系ではあれどIT系ではない会社で、どうやったらデータ分析によるビジネス的成果を出していけるか、多くのヒントが詰まっている。

いまでこそ大阪ガスはデータ分析チームが機能している会社として有名だが、当初からそうだったわけではない。最初は業務知識も社内人脈もない。データ分析案件を事業部門に提案に行っても、相手にされない状況から始まる。それでもへこたれずに提案を続け、便利屋的なデータ分析でも何でも請け負うことで事業部門の信頼を勝ち取っていく。事業部門が抱える業務課題を少しずつ理解していった(p.38)。転機になったのはデータ分析チームの組織変更。それによりデータ分析チームはIT部門の一つとなり、研究所から本社へと移転。事業部門との距離が物理的に近くなったおかげで、心理的にも近くなった(p.40-46)。その後、データ分析チームはビジネスアナリシスセンターと名乗るようになる。

著者の前書にもあったが、データ分析チームがビジネス成果を出すには、4種類の人の壁があるという。事業部門と連携する壁、会社の経営に高絵kんする壁、分析組織のメンバーを育てる壁、モチベーションを維持する壁(p.57)。著者は組織メンバーの育成やモチベーションの維持に多くの紙面を割いている。組織運営の肝となる。メンバーのやりたいこと、やるべきこと、やれることの範囲を広げさせて合致させるという「挑戦するモチベーション」の管理(p.265-269)。他の二つのモチベーションとして、壁を乗り越えるモチベーションと継続するモチベーションもある(p.257)。

データ分析でビジネス成果を出すには、データ分析者には見つける力、解く力、使わせる力の3つが必要。解く力はもちろん実際の業務データに取り組む実務経験による面もあるが、データ分析の場合、理論的に学べる点も多い。しかし見つける力と使わせる力を養うにはOJTで学んでいくしかない。さらに、単にデータ分析の問題を解くことが責務ではなく、事業部門に成果を出してもらうことが責務なのだ、というようにマインドを変える必要もある(p.76-79)。見つける力、解く力、使わせる力の3つの力を併せ持つ人材を育てるには、3年程度の短期間ではなく、もっと長い年月を要する(p.82)。こうした長期にわたる人材育成が視野に入っていなければならない。

ビジネスアナリシスセンターの最初の5年間は問題をただ分析するだけで、ビジネスの結果につながっていなかった。データ分析を現場に適用させるには、データ分析を含んだ意思決定プロセスの再設計が行うことが必要(p.105f)。あくまで意思決定は事業部門の仕事だ。ここは賛否両論もあろうが、意思決定は事業部の責任ある人間が担うべきものであり、ビジネスアナリシスセンターは立ち入らない(p.224f, 251f)。この点で、データ分析チームは裏方、縁の下の力持ちに徹する。関係者のプライドが邪魔して現場で活用されないよりは、本人の信念に沿って妥協した70点のソリューションでも現場で活用される方が良い(p.295)。何よりもポイントはビジネスの成果を出すこと。

こうして18年で築いたのは、3つの無形資産だという。それらはミッション、カルチャー、レピュテーション。ビジネスアナリシスセンターは、データと分析力を武器に社内にイノベーションを起こすことをミッションとして獲得した。問題を解くことではなく、会社に役立つかどうかで評価するというカルチャーであるし、また事業部門に対するプレゼンに勝負をかけるカルチャー。そして、ビジネスアナリシスセンターは縁の下で支えてくれる組織だとの社内外からのレピュテーション(p.212-254)。
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プロフィール

坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。
しかし博士号は取らずPh.D. Candidateで進路変更。
哲学と特に関係なくIT業界に住んでいる。

別館:アマゾンのレビューページ

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