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林明文、古川拓馬、佐藤文『経営力を鍛える人事のデータ分析30』


タイトルにはデータ分析とあるが、統計学や機械学習を人事領域のデータに適用したものではない。会社経営にあたって考えなければならない人事の論点、KPIを集めたもの。著者は経営層に対する人事コンサルを行っているファームの人たち。

オープンデータ、クローズデータを集めて分析したものではなく、データ分析の本ではない。30の論点それぞれにグラフが何か載っているが、時には政府統計からのグラフだが、時には単なるサンプルでデータは適当な数字だったりする。

論点集と見れば悪い本ではなく、論点とされるべきものについてはとても簡潔にまとまっている。日本の平均勤続年数は大手企業以外では他の先進国とさほど変わらず、日本だけが終身雇用、長期雇用であるというイメージはデータ的には正しくないといった指摘(p.32)は先入観を解く。自己都合退職率は3%を越えると黄色信号、5%を超えると赤信号であり、5%は新卒社員採用を主な手段とすることが困難となるラインといった指摘(p.95-98)。評価は相対評価にするのはなく、絶対評価を行い評価者間で結果を共有し議論することによって人事評価レベルが精度向上できる(p.189f)、など参考になる提言。

本書の課題意識の一つは適正な社員数にあるようだ。社員数は経営計画の達成に向けた最大のリソースなのに、社員数の数字的管理がされていない(p.50)。ただ、適正な社員数とは何かは、読んでもよく分からなかった。「適正人員数=付加価値/労働生産性」という式が書いてあって、同時に「生産性=付加価値/社員数」と書いてある。よってここからは、適正人員数=社員数という式が導かれる。本文から見る限りは、適正人員数は経営目標上で設定した付加価値や生産性から来るのだろう。それは目標であって適正ではない気もする。

管理職の処遇についても多くが語られる。例えば、管理職に昇格したら残業代がなくなって給与が下がるため、管理職に昇格するモチベーションが薄いという実態がある。この対策として給与レンジは名目でなく残業代を含んだ実質で管理する(p.146-148)。ただ、管理職が必要以上に増えてしまう(p.77-83)のは、管理職しか昇給の道がないということが問題。社内におけるキャリアパスを多様化させることについては、何にも指摘していない。

人事データはなかなか公表されないので、データ分析も事例が少ない。生涯年収など定量的な人事データを積極的に公開することで採用競争力が高まる、といった指摘もある(p.139-144)。もっと様々なデータが公開されて良いはず。
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プロフィール

坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。
しかし博士号は取らずPh.D. Candidateで進路変更。
哲学と特に関係なくIT業界に住んでいる。

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