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本間和城『基礎から学ぶWeb広告の成功法則』


Web広告のことはほとんど知らないので勉強。個人的にはすべてAdblockで消しているので、そもそもあまりWeb広告を見る機会がない。広告をクリックして遷移するという体験がない。裏側で本当はこういうことが動いている、ということを知るために読んでいた。

この本はWeb広告の種類として何があって、それらをどう使い分けるかという標準的な内容はもちろんカバー。それ以上に、そもそも広告をどう設計するかについてかなり議論している。ポイントは一貫して、ユーザーの行動や感情をどう考えるかにある。ユーザーの行動を考えずに広告を設計すると、まず失敗する(p.14)。すぐにテクノロジーやクリエイティブから考えてしまいがち。そうではなくユーザー中心で考え、ユーザーの感情を動かすことが重要(p.210-212)。

Webでモノが売れないのは、商品、役割、デザイン・操作性、集客方法の4つが原因としてある。特に、これらの間に一貫性があるかどうかが肝(p.3f)。広告の設計に使われる基本的テクニックはペルソナ手法。しかし著者は、ペルソナ設計には感情と時間的推移の配慮がないのでうまくいかないとする。ペルソナ設計には、ユーザーのプロフィールはあれど、ある時点でどんな感情を抱いていて、それが広告に接することによってどう変わるかを扱っていない。ペルソナを用いたストーリー設計が必要だということだろう。著者はペルソナ設計を「ナナリハ」で行うことを述べている。これは悩み、なぜ、理想、ハードルの頭文字(p.39-42)。

またユーザーの購買に至る行動をモデル化したAISASなどについても、一軸でしか捉えてないとの見方を展開。商品理解の深さと、ニーズの緊急度の二軸でユーザーの感情を捉えるべきと述べる。理解が深まり、ニーズが緊急になったときに購買行動(やコンバージョン)は起こる。広告とはユーザーに理解を深めさせるか、緊急性を喚起するかのどちらかに働く。この二軸を動かすようにそれぞれの広告を訴求する(p.46-55)。

広告の質についても良質な議論。広告を出した初期は、まずコンバージョンとCPAの改善を行っていく。しかしこれだけでは頭打ちになる。単にコンバージョンの数や割合が上がっても、それが一回だけの購買で、リピーターやファンにつながらないものだと限界が来る。「コンバージョンの質」が重要になってくる。これを見るためにLTVやROASを見ることが必要になる(p.76-78)。このためにはあえて効果を落とし、質の悪いクリックやコンバージョンを削減する改善案もある(p.83-85)。

扱われているWeb広告の種類は、リスティング広告、ディスプレイ広告、アフィリエイト広告、動画広告やSNS広告。それらがどういうものであり、主要なプレイヤーが何か、広告を使う際のポイントとは何かがきちんと書かれている。なかでもSNS広告はターゲティングの精度が高く91%(他は27%)ので使えると(p.172f)。ただし広告だけでなく、そこからユーザーが遷移していくるランディングページは特に大事。興味を引く、共感、商品理解、購買理由、リスクの低減、購入そのものといった目的に合わせてランディングページを設計するフレームワークなどがある(p.202f)。
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坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)

Author:坂間 毅 (Sakama Tsuyoshi)
数学の哲学を専攻して研究者を目指し、20代のほとんどを大学院で長々と過ごす。
しかし博士号は取らずPh.D. Candidateで進路変更。
哲学と特に関係なくIT業界に住んでいる。

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