Entries

小林雅一『AIの衝撃』

第三次AIブームの広がりをたどり、今後における問題点を綴ったもの。事実の解釈について疑問に思うところはあるが、しっかり調べて書いてある印象。深層学習についての解釈はあまり納得しなかった。深層学習は「大脳視覚野の認識メカニズムに基づく」(p.27)としているが、これは当てはまってもCNNだけだろう。画像認識で高い性能を示したニューラルネットが音声検索や同時通訳にも応用されるようになったと書いている(p.238)ので、...

マイケル・ルイス『マネー・ボール』

マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)1990年台後半から2000年台初頭、アメリカの野球球団オークランド・アスレチックスを舞台にしたノンフィクション。映画化もされた有名な本。アスレチックスは選手たちに支払う年俸がニューヨーク・ヤンキースなどのトップ球団に比べて3分の1以下なのにも関わらず、同等の成績を上げていた。本書は、アスレチックスのGMだったビリー・ビーンという人を中心に、そのから...

リンダ・グラットン『ワーク・シフト』

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉非常に良い本。これからの世界を変化させるどのような要因があるか。それによって世界はどのように変わるか。その時、我々の職業生活がどのように変わるか。必要とされるようになる仕事とは何か。そのような仕事を担っていくために必要な能力は何か。そうした能力をつけていくためにはどうしたらよいか。「未来を理解し、未来に押しつぶされない職業生活を切り開...

奥村宏『会社本位主義は崩れるか』

会社本位主義は崩れるか (岩波新書)法人間の株式の持ち合いによって成り立つ法人資本主義が日本の資本主義の特徴をなしている、というのはこの著者の一貫した主張。本書では法人資本主義の原理としての会社本位主義(p.10f)を扱っている。会社本位主義とは、株主や従業員より会社そのものを重視する考え方。会社本位主義を支える制度として、終身雇用や企業系列、企業別労働組合などが論じられる。会社本位主義、政・官・財の相互関...

クリストファー・スタイナー『アルゴリズムが世界を支配する』

アルゴリズムが世界を支配する (角川EPUB選書)アルゴリズムに基づく機械的な判断が社会で広まっている。その様をいくつもの場面から描いた本。話題の中心はウォール街の投資アルゴリズムだが、音楽のヒット分析、人の心理学的分類と相性の推定、医療判断なども挙げられている。ジャーナリストが書いた本で、残念ながら表面的な印象を受ける。現場の人にインタビューなどをしているが、おそらく著者の理解が浅く、深みのない記述に...

中山健夫『健康・医療の情報を読み解く 第2版 健康情報学への招待』

健康・医療の情報を読み解く 第2版 健康情報学への招待 (京大人気講義シリーズ)健康や医療にまつわる怪しい話に惑わされないために。EBMを典型例として、そうした情報に接する一般の人のリテラシーの必要性を説いている。具体例が多く載っているので、しっかりと理解できるだろう。こうしたリテラシーは持っていて、民間診療的な情報には警戒して初めから臨むような人には新しいものはあまりない。クロルゾインをめぐる、代理のエ...

池田純一『〈未来〉のつくり方』

〈未来〉のつくり方 シリコンバレーの航海する精神 (講談社現代新書)シリコンバレーがイノベーションを生み出し続けるその文化的、思想的背景を探った本。シリコンバレーの巨大企業やスタートアップたちが目指そうとする世界、そのビジョンはややもすると滑稽なほど壮大である。彼らは、なぜそうしたビジョンを抱き、それを本気で実現しようとしているのか。シリコンバレーを中心とするアメリカのIT業界の流れを、多くの情報ととも...

エリク・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー 『機械との競争』

機械との競争大学を出たら毎日上司にやることを指示されるような従来型の仕事に就こうとなとど考えていると、いつの間にか機械との競争に巻き込まれていることに気づくだろう。上司のことこまかな指示に忠実に従うことにかけては、機械の方がはるかに得意であることを、ゆめ忘れてはいけない。(p.127)最近話題の、機械が人間に取って代わるいう話。仕事が無くなるという話だけではなく、社会全体に与える影響を論じようとしている...

スーザン・ケイン『内向型人間の時代』

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力(2013/05/14)スーザン・ケイン商品詳細を見る外向型の人間が特に重視されるアメリカの社会に抗して、内向型人間の意義と重要性を説く本。とても面白い。人口の3分の1から2分の1くらいはいるとされる(p.325)内向型人間に勇気を与えてくれる。また、内向型人間の活かし方を述べているだけではなくて、外向型人間と内向型人間が上手く付き合う方法であるとか、子どもが内向的であった場合に...

ダン・ガードナー『リスクにあなたは騙される』

リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理(2009/05/22)ダン・ガードナー商品詳細を見るいまひとつ。タイトルからはリスクに過剰反応する人間の心理を描いた科学的な読み物に見えるが、これはジャーナリストの書いた本。様々なリスクに対するメディアの過剰反応を、実際の統計データや事実からどのくらい離れているのかを検証しつつ書かれている。例えば環境ホルモンと総称される化学物質や発ガン性物質、いまならエボラウイル...