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塩野七生『ローマ亡き後の地中海世界3』

ローマ亡き後の地中海世界3: 海賊、そして海軍 (新潮文庫)記述はスペイン、フランス、オスマン帝国という三つの大国がせめぎ合う時代へ入っていく。それまで各都市ごとの小さな集団を中心として動いていた海賊とそれへの対抗が、より大きな領土国家の枠組で動き始める。1494年のフランス王フランソワ1世のイタリア侵攻をもって、時代は都市国家から領土国家へ主軸が移る。個々人の生産性は低くとも人口の多い方が優位に立つ。大国...

塩野七生『ローマ亡き後の地中海世界2』

ローマ亡き後の地中海世界2: 海賊、そして海軍 (新潮文庫)10世紀から15世紀くらいまでを描いている。相も変わらずイタリアを襲い続ける海賊と、それに対抗し始めるイタリア諸国を追っていく。こうもサラセンの海賊の襲撃が続くイタリアでは、ローマ時代には「海に沿う町は「地の利を得ている」とされていたのだが、中世ではそれが「不利」に変わっていたのである」(p.22f)。シチリア島を支配したイスラム勢力は、そのすぐ対岸...

藤沢道郎『物語 イタリアの歴史〈2〉』

物語 イタリアの歴史〈2〉皇帝ハドリアヌスから画家カラヴァッジョまで (中公新書)(2004/11)藤沢 道郎商品詳細を見る人物伝を中心にイタリア史を語る本の第二巻。本書ではローマ皇帝ハドリアヌス(76-138)、教皇グレゴリウス(540?-604)、マローツィア夫人(890-932/937)、異端者アルナルド(?-1155)、教皇ボニファティウス8世(c.1235年-1303)、ロレンツォ・デ・メディチ(1449-1492)、航海者コロンボ(c.1451-1506)、画家カラヴァッジョ...

塩野七生『ローマ亡き後の地中海世界1』

ローマ亡き後の地中海世界1: 海賊、そして海軍 (新潮文庫)(2014/07/28)塩野 七生商品詳細を見るイタリア中世史。さすがに記述は明確でテンポが良く読みやすい。歴史的叙述はさらりと流しながら、その時代にそこで生きた人たちの思いを描こうとしている。第一巻は西ローマ帝国が滅亡してから、シラクサがイスラム側に落ちてシチリア島がイスラム支配下に入る(878年)までを描く。北アフリカまで拡がったイスラム教は、アラビア半島か...

フェルナン・ブローデル『地中海〈10〉』

地中海〈10〉 (藤原セレクション)(1999/11)フェルナン ブローデル商品詳細を見るようやく最終巻にたどり着いた。時間は1577年から1601年、レパントの海戦の後、地中海から大きな戦争が消えていく様を描く。スペインとオスマンの休戦協定を巡る様々な駆け引き。その後、スペインもオスマンもそれぞれ、地中海から視点を外に向ける。前巻にもあったが、ブローデルはミシュレに抗して、16世紀の曲がり角を聖バルテレミーの虐殺ではな...

フェルナン・ブローデル『地中海〈9〉』

地中海〈9〉 (藤原セレクション)(1999/11)フェルナン ブローデル商品詳細を見る1566年から1574年までを扱う。スペイン、ローマ教皇、ヴェネツィアの対オスマン協定である神聖同盟の締結巡る流れ。神聖同盟のもとでのレパントの海戦は、本書の記述のクライマックス。そしてヴェネツィアの神聖同盟からの離脱と、スペインによるチュニス占領を描く。神聖同盟に至るスペイン側の流れとしては、ネーデルラント戦争(オランダの80年戦争...

藤沢道郎『メディチ家はなぜ栄えたか』

メディチ家はなぜ栄えたか (講談社選書メチエ)(2001/03)藤沢 道郎商品詳細を見る中世ルネサンスを支えたフィレンツェのメディチ家、特にコジモ・デ・メディチ(1389-1464)について書かれたもの。メディチ家がどのように歴史に登場し、どのようにフィレンツェ共和国を陰から支配したか。また、メディチ家の生業である銀行がどのように展開したか。そしてルネサンスをいかに支えたか。つまり、由来、政治、経済、文化について語られて...

フェルナン・ブローデル『地中海〈8〉』

地中海〈8〉 (藤原セレクション)(1999/07)フェルナン ブローデル商品詳細を見るここから残り3巻は出来事としての歴史を扱う。本巻は二章に分かれている。第一章は1550-1559年を扱い、カール5世の治世の終わりから、フェリペ2世がスペインに定着するまで。第二章は1559-1565年を扱い、スペインとオスマン帝国の地中海を巡る戦いを描く。というわけで200ページ以上を用いておよそ15年の政治を描く。細かい記述が多くて、この巻では...

藤沢道郎『物語イタリアの歴史』

物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書)(1991/10)藤沢 道郎商品詳細を見る10人の人物を中心として描きながらイタリアの歴史を書いたもの。書かれている時代はローマ帝国が蛮族に蹂躙され分裂していく四世紀末から、イタリアがついに統一される20世紀初頭まで。人物を描いているが、単なる人物略伝ではない。その人物の生きた各時代のイタリアを描き、全体として通史となるように目されている。著者の言うように、これは...

フェルナン・ブローデル『地中海〈7〉』

地中海〈7〉 (藤原セレクション)(1999/06)フェルナン ブローデル商品詳細を見る文明と、それに対応するものとしての戦争について。この巻は面白い。16世紀の地中海は確かにキリスト教文明とイスラム教文明の衝突の時代だ。その意味では現代にも似たものがある。文明や戦争についてかなり高い視点からの理解を持ちながら、個々のトピックについて論じている。文明については、他文明に伝播するということと、他文明から借用すること...