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久松英二『ギリシア正教 東方の智』

ギリシア正教 東方の智 (講談社選書メチエ)(2012/02/10)久松 英二商品詳細を見るこれはかなりよい本だ。ギリシャ正教について、それがなぜローマ教会と分かれたのか、何が違うのかを慎重に評価している。また、現在の西方教会と東方教会の和解へ向けた動き、世界各国のギリシャ正教会の略伝と現況について詳しいのも特徴だろう。もちろん、ギリシャ正教ならではの特徴、つまりイコンを中心とした信仰やヘシュカズムについても書か...

レザー・アスラン『変わるイスラーム』

変わるイスラーム 〔源流・進展・未来〕(2009/03/21)レザー アスラン商品詳細を見るイスラム教の歴史と現在について、冷静で中立的なものが読みたければこの著者のものを読むのが良い。著者はジャーナリストであり宗教学者、さらに小説の訓練を受けている。その筆致は鮮やかだし、ともあれ説得的。各章の冒頭に出てくる小説仕立ての記述もとても分かりやすい。現代まで視点に据えているとはいえ、基本的にはイスラムの歴史につい...

伊藤聡『神道とは何か』

神道とは何か - 神と仏の日本史 (中公新書)(2012/04/24)伊藤 聡商品詳細を見る古代から近世までの日本神道史を扱ったもの。神道というと日本古来の宗教のように捉えられることもあるが、きちんとした宗教として成立したのは15世紀、吉田兼倶の吉田神道においてである。国学の流れの中で日本古来のものとして送り返された古代の神道は、多神教的・アニミズム的なカミ信仰で整ったものではない。このカミは祟りを起こす畏怖の対象...

石田瑞麿『教行信証入門』

教行信証入門 (講談社学術文庫)(1989/11/06)石田 瑞麿商品詳細を見る親鸞の主著である『教行信証』、すなわち『顕浄土真実教行証文類』について書かれた本。当の『教行信証』は古今の文献を縦横無尽に引用し、それに対する親鸞の読解という形で自身の思想が展開されている。本書はそれら親鸞の読解の中から、特徴的なものを抜粋して編まれたもの。教、行、信、証、真仏土、化身土の章に分かれているが、原著の分量に類比したもので...

末木文美士『仏典をよむ』

仏典をよむ―死からはじまる仏教史(2009/04)末木 文美士商品詳細を見る面白い本だ。中国および日本の古典的な仏典を順次取り上げて、その解説を試みたもの。だが、当該の仏典を経典とする宗派の解釈には囚われないし、よくある仏教史での理解にもこだわらない。著者の狙いは「仏典を従来の固定観念から解き放ち、今日に生きる思想書として」(p.2)読むことだ。もちろん取り上げられる仏典は現代から遠く離れた時代のものであるから、...

鈴木大拙『日本的霊性』

日本的霊性 (岩波文庫)(1972/01)鈴木 大拙商品詳細を見る有名な本。日本的霊性について。日本的霊性は著者の言葉だが、つまるところ宗教心のこと(p.16f)。日本において宗教意識がどのように生まれてきたか、仮説的歴史を語る。著者によれば、それは浄土思想と禅において現れる。ということはつまり、鎌倉時代になって初めて現れるのである。鎌倉時代において、日本的霊性の持っている最も深奥なところが発揮させられたのだ(p.78)。...

梅原猛訳注『歎異抄』

歎異抄 (講談社学術文庫)(2000/09/08)梅原 猛商品詳細を見るこれは凄い。心底震えるような読書だった。言わずと知れた、浄土真宗の創始者の一人である親鸞の思想を、その弟子である唯円が記したもの。人智を超えた阿弥陀仏の慈悲に対する、人間の有限性。人間ごときがちょっと努力したくらいで極楽に行ける(自力)わけがない。人智を超え、悪人すら救済するのが阿弥陀仏の慈悲である(他力)。だいたい、当人が善人であるか悪人で...

佐藤研『聖書時代史 新約篇』

聖書時代史 新約篇 (岩波現代文庫)(2003/05/16)佐藤 研商品詳細を見る新約聖書を巡る歴史。ナザレのイエスが生まれる時代(B.C.30頃)から、キリスト教と呼べる宗教共同体が姿をなす2世紀までを扱う。特色は、当時のローマ帝国の政治状況、またユダヤ教共同体の政治状況をともに記していくところ。原始キリスト教、と呼ばれることもあるイエス処刑直後の時期を、「ユダヤ教イエス派」と捉える。この時期はいまだユダヤ教の内部に...

山田晶『アウグスティヌス講話』

アウグスティヌス講話 (講談社学術文庫)(1995/07)山田 晶商品詳細を見る素晴らしく含蓄に満ちた言葉。高名なキリスト教学者による、一般信徒向けの講話集。アウグスティヌスを枕にしているが、特にアウグスティヌスの思想に依ったものではない。アウグスティヌスの思想形成における母親と内縁の妻の役割というやや特殊な話題に続いて、扱われている話題は次の通り。煉獄と地獄の違いについて。三位一体論。悪と神義論。終末思想。...

田川建三『キリスト教思想への招待』

キリスト教思想への招待(2004/03)田川 建三商品詳細を見るいつも通りの田川節。痛快な皮肉。ときおり暴走する文体もまた楽しい。こういう視点を持つことができ、また書くことができる力量には圧倒される。必ずしも内容には共感できないが。キリスト教の典型的な思想から四つを取り上げて、キリスト教思想(というより田川思想)を語る。四つとは、自然神学、隣人愛、救済、終末論。自然神学の章では、人智を越えた自然の精緻さ、美...
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