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ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ『哲学とは何か』

DGの哲学の魅力は、国家、資本主義、精神病といったすぐれて人間の精神活動に関わるとされてきたものを、唯物論的に、機械によって論じるところにあった。少なくとも私にはそうだ。本書ではDGが哲学とは何か、というこれまたすぐれて人間の精神活動に関わる問題について論じる。しかし本書では従来の唯物論的視点はあまり見られない気がする。また哲学は科学、芸術と対比され、3つ組として論じられるのだが、この図式がカントやヘ...

三宅陽一郎『人工知能のための哲学塾』

生物は、自分の視点から離れた客観的な視点から世界をとらえて行動しているのではありません。生物は主観を通して、自分自身の視点や取捨選択した情報を通して行動を形成します。ですから、人工知能を外側から構築する、つまり、製作者の神の視点から構築したとしても、それは精緻な操り人形以上のものにはならないのです。人工知能に知能を与えようとすれば、その人工知能から見た世界を構築することが本質なのです。(p.285)ゲー...

山本芳久『トマス・アクィナス 肯定の哲学』

トマス・アクィナスの感情論を扱ったもの。トマス・アクィナスというと、スコラ哲学の集大成、大伽藍。微に入り細に入り論じられる存在論と神学が有名。素人目にはともするとその非常に細かい区分や議論の仕方が馴染めず、ポイントを感じられないことも多い。本書では感情論という、存在論に比べればずっと身近な話題を扱う。それによってトマス・アクィナス、ひいてはスコラ哲学の展開の仕方を平易に表す。のみならず、トマス・ア...

信原幸弘編『シリーズ心の哲学 III 翻訳篇』

翻訳篇と銘打たれた本書では、心の哲学の現代の古典となった英語論文が5つ収録されている。どれもその後の議論に大きなインパクトを与えた重要な論文だ。J.キムの論文はスーパーヴィーニエンスの考えをきちんと定式化。スーパーヴィーニエンスの概念を用いて、心的性質に対して因果的効力を与えられるよう論じる。マクロ的因果とミクロ的因果という、より広い事例からスーパーヴィーニエンスを説明するところがよい。心的因果は...

信原幸弘編『シリーズ心の哲学 II ロボット篇』

なぜロボット篇という副題になっているのかはよく分からない。本巻は認知とは何かをめぐって書かれた5つの論文からなっている。古典的計算主義、コネクショニズム、力学系といった有名な立場を論じたもの。フレーム問題にフォーカスしたもの。そして、認知は認知主体だけでなく環境を含んで行われるという立場に基づく二つの論文。ロボット篇としているのは古典的計算主義から話が始まっていることと、フレーム問題を扱っているこ...

信原幸弘編『シリーズ心の哲学 I 人間篇』

とても良い本。現代の心の哲学の主要トピックを論じた各論文からなる。それぞれは著者自体の立場を問わず、主に物理主義の観点から書かれている。基本的には議論状況の優秀なサーベイ集。トピックは心的因果、志向性、クオリア、素朴心理学、自己知。それぞれがよくある誤解や典型的な反論を丹念に扱いながら、中心的な議論を扱っていく。物理主義は心の哲学のトピックに対するものとしては無理のある議論も多い印象。もちろん現代...

ハンナ・アーレント『人間の条件』

人間の条件 (ちくま学芸文庫)政治哲学の名著。古代ギリシャから中世哲学、マルクスまで多くの知識を総動員しており、読むのはなかなか骨が折れる。人間が生きているうちに行う事柄を「観照的生活」(vita contemplativa)と「活動的生活」(vita activa)に分ける。観照的生活とは真理を追求する哲学者のような生活で、思考がその最たるものとなる。観照的生活は本書でメインに扱うものではない。本書の特徴は、活動的生活を労働la...

矢野久美子『ハンナ・アーレント』

ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)アーレントについて書かれた実に素晴らしい解説書。激動の時代を生きて考えぬいたアーレントという人物が、何を重視し、どんな活動を行ったか分かりやすく書かれている。単純にアーレントという人物の解説を超えて、現代においていかに我々が考え、時には抗していくか考えさせられる。アーレントほど強く考えぬくことはできないとしても。本書の特徴は、アーレン...

中村元『日本人の思惟方法』

日本人の思惟方法〈普及版〉タイトル通り、日本人の思惟方法について書かれた一冊。著者は原始仏教やインド哲学の大家。日本人の思惟方法について書かれた本はいろいろとある。この本のユニークなのは、仏教受容からその独自性を探っていること。もともとの仏教思想、中国での受容を経て日本で仏教が受容されるわけだが、その過程で変容したり、採用されなかったものもある。日本で何が変容され受容されなかったのかを探ることによ...

坂部恵『モデルニテ・バロック』

モデルニテ・バロック―現代精神史序説(2005/04)坂部 恵商品詳細を見る近代性(modernité)とバロックをキーとした論文集。この対概念を中心としつつ、様々な思想について語った論文を集めている。ある程度の基調は感じられるが統一感は無い。晩年の著作でもあることから、一つのテーマについて詳細な展開がするのではなく、個々のトピックについて大きな流れを示すような記述が多い。著者としては問題の所在や方向性を示すことに眼目...
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