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佐伯胖、松原望編『実践としての統計学』

統計学の様々な結果やTipsの背景、基礎を述べたもの。タイトルでは内容が伝わりにくい。統計学はいまや基礎的知識として、物理学・生物学から社会科学まで広く普及している。SASやRといったツールも整備されている。その結果、数理統計学として統計学自体を研究するわけではない、使う側の統計的手法は「こういうデータの時はこう分析する」といったHow-toの蓄積となっている(p.179f)。使う側は統計の専門家ではないので、必ずしも...

清水亮『はじめての深層学習プログラミング』

深層学習についての、プログラム言語をメインにした入門書。主にChainerを扱い、後半でTensorFlowも登場する。著者の会社で作っているライブラリDeelも出てくる。深層学習の仕組みについての話はあまりない。数式はほとんど出てこない。ChainerでのCNN、LSTMの実装例から、TensorFlowでのSeq2Seq、そしてDeep Q Learningを扱っている。最終章では深層学習の発展例として、スタイル転写、写真と説明文の生成、積層自己符号化器、転...

池尾恭一、井上哲浩『戦略的データマイニング』

ビジネススクールのデータ分析のケーススタディかな。アスクルのデータをマスキングしたものを使って、データ分析を行って顧客の購買行動を分析する。やっていることは重回帰分析、k平均法、アソシエーション分析。さほど高度ではない。なお、SPSSと一部Clementineによる分析結果。第3部が応用編とされているが、本論はここから。それまでの134ページは、アスクルのような企業が置かれている市場環境の分析と、ごく一般的なデータ...

岩波データサイエンス刊行委員会編『岩波データサイエンス Vol.3』

第三巻は統計的因果推論。変数間の相関関係は必ずしも因果関係を意味しない、というのは統計の鉄則。では逆に、どのような変数間の関係なら因果関係と呼べるのか。基本的には、それら変数に影響を与えるすべての変数(交絡要因)を考慮に入れた上で、それでも相関がみられるなら因果関係とするような感じだろうか。科学実験ならばランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial, RCT)を行うような実験計画を立てて、因果関係を推...

八谷大岳、杉山将『強くなるロボティック・ゲームプレイヤーの作り方 プレミアムブックス版』

強化学習の入門書。強化学習は先ごろ良書が刊行されたが、それまではこの本くらいしかなかったようだ。2008年刊の再版なので内容は古め。それ以降に話題となったDQNなどのトピックはない。本文自体は140ページほどで終わり。その後はMatlib/Octaveのインストール方法と、本文で使用しているプログラムのコードが載っている。強化学習の基本的な概念を解説した後、価値関数の学習方法を離散空間、連続空間で解説。その後、政策を直...

東京大学教養学部統計学教室編『統計学入門』

誰もが読んでいる、通称赤本。基礎的な事項がうまくまとまっている。さすがは定評ある教科書。自分が読んだ中では、モーメントの話が面白かった。期待値、分散、歪度、尖度などの統計量がモーメントとして整理される。確率分布は(期待値まわりの)モーメントE(X-μ)^rで決まってくる(p.99-104)。モーメントが等しければ確率分布は等しい。中心極限定理もモーメントを使ってあっさりと証明されている(p.164f)。...

黒橋禎夫、柴田知秀『自然言語処理概論』

良書。200ページに満たない薄い本なれど、自然言語処理について大概のことが簡潔に書いてある。前半では形態素、構文、語の意味、文の意味、文脈の解析と徐々に範囲を拡大しつつ、それぞれの分野でどのような分析がなされているのか、代表的なところを書いている。後半ではニューラルネット、情報抽出、情報検索、トピックモデル、機械翻訳、対話システムといった話題を扱う。とても簡潔に書いてあるので、もちろんこれだけでは詳...

矢野和男『データの見えざる手』

どうも評価が難しい一冊。日立の研究所で、ウェアラブルセンサを用いて様々な人の身体運動や、誰が誰と話したかのデータを取得して分析した結果。具体的には例えば、リストバンド型のウェアラブルセンサで腕の動きを50msごとに加速度センサで計測(p.23)。また、名刺型センサを首からぶら下げて、センサどうしの近接関係や空間にあるビーコンとの反応でその時点での位置を拾うなどしている。合計100万人日にも及ぶデータに基づいた...

古井貞熙『人と対話するコンピュータを創っています』

音声認識について極めて易しく語っている、非専門家向け入門書。この分野に興味を持ったなら最初に手に取る一冊だろう。こうした本がある分野はとてもよい。ただ、数式こそ頻出しないものの、各種の専門用語は多く扱われている。用語集としてまとめられているものの、読む人によってはきついかも。理論的なところを少し知っている私には、こうした平易な言葉で書かれると逆に分かりにくさを感じた。内容は、人間の言葉に関わる音声...

清水亮『よくわかる人工知能』

プログラマー、経営者として人工知能の分野で有名な著者が、人工知能研究の最前線にいる8名と対談したもの。内容は(用語解説はついているが)専門用語が多く、対談形式で読みやすいとはいえ決してレベルは低くない。人工知能のアルゴリズムについて詳細に語っているわけではなく、それで何ができるかに焦点があるので読むのは難しくない。ただ、そこで語られていることをきちんと理解するには、それなりの知識が読者にも求められ...