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リチャード・ファインマン『光と物質のふしぎな理論』

光と物質のふしぎな理論―私の量子電磁力学 (岩波現代文庫)(2007/06/15)リチャード・P. ファインマン商品詳細を見るかの物理学者ファインマンの有名な一般向け講義で、量子電磁力学について。名高い本なのだが、自分にはしっくりこなかった。量子力学の解釈が(当たり前ながら)経路積分とファインマンダイアグラムなので、いまいち自分には馴染みがなかった。しかし鏡での光の反射という身近な例を取りながら、光が取りうる様々な...

吉田伸夫『光の場、電子の海』

光の場、電子の海―量子場理論への道 (新潮選書)(2008/10)吉田 伸夫商品詳細を見る1926年は量子力学の完成の年と言われる。シュレーディンガーの波動力学とハイゼンベルクの行列力学が、電子の振る舞いに関する同等の理論だと示されたからだ。だが待て、と著者は冒頭(p.3ff)から言う。これは電子を量子化しただけで、光はこの理論の中にはない。つまり「粒子の量子論」なのだ。光をも含めた物理的世界全体を量子論で扱う理論は、192...

デイヴィッド・ルエール『偶然とカオス』

偶然とカオス(1993/03)D. ルエール商品詳細を見る著者は流体、特に乱流turbulenceの研究者。初期条件の微細な違いでその姿を大きく変える乱流の研究は、非線形力学を始めカオス研究の源となった。その著者が偶然性やカオスを巡って書いたエッセイ。さすがに専門の物理に関するところは面白い。個人的に気に入ったのは、粒子が量子力学的に取りうる状態の数からエントロピーを説明するところ(p.136f)。妙に合点がいった。確かにボル...

杉山直『宇宙 その始まりから終わりへ』

宇宙 その始まりから終わりへ (朝日選書)(2003/06)杉山 直商品詳細を見るこれは非常によい本だ。かなりおすすめ。現代物理学の宇宙論について、きわめて平易に語られている。現在正しいだろうと考えられている事項をただ述べるのではなく、それが意外だが受け入れられた背景などを語る。それによって、引き込まれるように読んでしまう。この類の現代宇宙論を何冊か読み慣れたせいもあるが、非常に分かりやすかった。黒体放射とプラ...

朝永振一郎『鏡の中の物理学』

鏡の中の物理学 (講談社学術文庫 31)(1976/06/04)朝永 振一郎商品詳細を見る「鏡のなかの物理学」「素粒子は粒子であるか」「光子の裁判」の三つを収録。どれも素粒子物理学の話題を易しく書いたもので、その文章力は素晴らしい。名著と言われるものだけはある。「鏡のなかの物理学」はCPT不変性の解説。左右の交換P、粒子と反粒子の交換C、時間の向きの交換Tを行えば、粒子の運動とその逆の運動は同じ運動法則に従う。あまりよく...

湯川秀樹『物理講義』

物理講義 (講談社学術文庫 195)(1977/10/07)湯川 秀樹商品詳細を見る日本大学理工学部で1974年3月18~20日に行われた、物理学専攻の大学院生向け講義。教科書に乗るような理論として完成された物理学ではない。物理学者が理論を考えたときの、様々な混乱や未整理な部分も考え、創られた際の物理学を見ていく。そのような整理されていない考えは単に無駄なごちゃごちゃしたものではない。むしろ、それが後の発展に示唆を与えたりす...

勝本信吾『ポケットに電磁気を』

ポケットに電磁気を (パリティブックス)(2002/10)勝本 信吾商品詳細を見る携帯電話をネタに電磁気学を解説するもの。アンテナと電磁波の話はもとより、コンデンサーとHEMT。バイブレーターではコイルと磁気の話。また、液晶画面と偏光の話。高校生が対象のようだが、高校生にはきついだろう。著者もちょっと書いているが、理系の大学2年生あたりが適当かと思われる。私自身は、磁場の位置エネルギーのような、ベクトルポテンシャ...

西成活裕『渋滞学』

渋滞学 (新潮選書)(2006/09/21)西成 活裕商品詳細を見るかなり面白い。自己駆動粒子(self-driven particle)の振る舞いについて。粒子として見た場合、例えば人の動きはニュートン力学の基本原理では捉えにくい。自分で勝手に運動方向を変えたりするので、慣性の法則がそのまま適用できるわけでもないし、運動方程式を解いて一定時間後の位置が予測できるわけでもない。しかし無秩序なわけでもない。ではどうやって捉えるのか。著者...

朝永振一郎『物理学とは何だろうか(下)』

物理学とは何だろうか 下  岩波新書 黄版 86(1979/01)朝永 振一郎商品詳細を見るすごい。恐れ入った。上巻が素晴らしかったので、下巻もだいぶ期待していた。それを遙かに上回る内容だった。稀有な名著とされるだけはある。上巻はカルノー、クラウジウスらが熱力学の基本原理を発見するまでだった。下巻は主に、それとニュートン力学をいかに調和させていくかを巡る。ボルツマンが議論の主題で、マクスウェルがそれを補佐するよ...

朝永振一郎『物理学とは何だろうか(上)』

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)(1979/01)朝永 振一郎商品詳細を見る物理学の大家が語る、物理学史。とても平易に語られながら、視点の鋭さを感じる。素晴らしい本だ。上巻は二部に分かれる。第一部はケプラー、ガリレオ、ニュートン。この三人の物理学を見ながら、占星術や錬金術の中からいかにして近代的な物理学が立ち上がってきたかを見る。ケプラーがケプラーの法則をどのように発見したのか。ガリレオの説いた、実験...