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マーリーン・ズック『性淘汰』

性淘汰―ヒトは動物の性から何を学べるのか(2008/10)マーリーン ズック商品詳細を見るamazonに読書記掲載。(NGワード:売春、オーガズム)読書記に書かなかった論点を二つ。著者は、エコフェミニズムの主張に対して率直な科学者としての見解を述べている。エコフェミニズムによれば、科学革命が自然の脱魔術化をもたらし、生き生きした自然を機械的な受動的なものに置き換えた。デカルトやニュートン力学の機械論的見方は、自然の...

ジョン・メイナード・スミス『生物学のすすめ』

生物学のすすめ (科学選書)(1990/05)ジョン メイナード・スミス商品詳細を見るかの第一級の遺伝学者、メイナード・スミスが書いた平易な入門書。かなり期待して読んだのだが、いま一つだった。ちょっと話題が拡散しすぎている。全体として焦点がどこにあるのか、今ひとつ見えない。例えば、脳と知覚の話は神経認知科学の話題であって、進化論や分子生物学の話に混ぜるには折り合いが悪い。翻訳も基本的に直訳調であり、あまりこな...

奥谷喬司『イカはしゃべるし、空も飛ぶ』

イカはしゃべるし、空も飛ぶ〈新装版〉 (ブルーバックス)(2009/08/21)奥谷 喬司商品詳細を見るイカについて。これは面白い本だ。まさにイカについてのすべてが書かれている。驚くことも多い。発光体で仲間にシグナルを送っているとか。生殖についても興味深いことばかり。ある意味、ここまで面白い本はなかなかない。...

ジェームズ・ワトソン『二重らせん』

二重らせん (講談社文庫)(1986/03)ジェームス・D・ワトソン中村 桂子商品詳細を見る言わずと知れた名著。DNAが二重らせん構造をしているという大発見をした当事者が、その発見への過程を語る。素晴らしい発見をもたらす科学者の思索の過程。また、ライバルとの熾烈な競争。そして、研究資金を獲得するための苦労話なども聞ける。だが、期待したほどには面白くなかった。どうも小節調の文章は相変わらず苦手。登場人物はファースト...

三浦謹一郎『DNAと遺伝情報』

DNAと遺伝情報 (岩波新書 黄版 265)(1984/01)三浦 謹一郎商品詳細を見る1984年刊なので少し古いかもしれない。進化論の本ではなくて、細胞生物学の話。DNAが分子としてどんな物質(核酸)からできているか。DNAやRNAはどんな仕組みになっているか。細胞内のリボソームでのタンパク質合成はどうなされるか。特徴は、研究の過程が詳細に出てくること。様々な生物学者の名前が出てくるし、国際学会での発表を聞いた衝撃なども記さ...

長谷川眞理子他『シリーズ進化学7 進化学の方法と歴史』

進化学の方法と歴史 (シリーズ 進化学 (7))(2005/05/28)長谷川 眞理子八杉 貞雄商品詳細を見る進化学の歴史と方法について。前半の進化論の歴史や、進化生物学の成立にて着いてはよく書けている。すっきりしていて読みやすい。後半は数理生態学の話なので、やや難易度は高い。ただレベルは抑えられているので、専門的な者ではない。集団遺伝学の紹介でよく聞くような話。数理生態学の紹介での、ゲーム理論の導入は面白かった。ゲー...

木村資生『生物進化を考える』

生物進化を考える (岩波新書)(1988/04)木村 資生商品詳細を見る集団遺伝学の世界的な学者が書いた、遺伝学の入門書。とても素晴らしい。こんな本が日本語で読めるとは。入門書ではあるが、まったく知識無く読めるわけではない。本当に初歩的な概念は説明されていない。ある程度、遺伝学に親しんだ人でないときついかもしれない。それから、数学(統計)に拒否反応を起こす人もきついだろう。ダーウィン進化論とメンデル遺伝学の対...

ウィリアム・クラーク『免疫の反逆』

免疫の反逆―進化した生体防御の危機(1997/02)ウィリアム・R. クラーク商品詳細を見るこれはとても面白い。主にヒトの免疫の仕組みについての本。免疫に関わる病気を中心に話が進む。古代ローマ、トゥキディデスの天然痘の記述や、パスツールとコッホの確執、症例をもたらした様々な患者。歴史やエピソードが豊富で、読んでいて飽きない。しかも観点が面白い。例えば、花粉症を始めアレルギー症状を引き起こすIgE抗体の進化的意義が...

リチャード・ドーキンス『盲目の時計職人』

盲目の時計職人(2004/03/24)リチャード・ドーキンス商品詳細を見る明快で丁寧な、よい本。創造的デザイン論証に対して、ダーウィン主義を擁護する。現代の遺伝学についての詳細な解説になっている。500ページもあるので読み通すのは時間がかかるが、議論はとてもクリアなので負担は少ない。例えば眼のような器官、またコウモリの音響測定システムなど非常に高度で複雑と思われる形質を生物はどうやって獲得したのか。進化によって...

斎藤成也他『シリーズ進化学2 遺伝子とゲノムの進化』

遺伝子とゲノムの進化 (シリーズ 進化学 (2))(2005/11/30)藤 博幸小林 一三商品詳細を見るとても面白い本だった。序章と第一章は主に木村資生の中立進化説について。集団遺伝学の数理モデルを使いながら、中立的な遺伝子変位がいかに残存して広まっていくかが明らかにされる。ようやく中立説の意義が分かった。第二章は生物情報学bioinformaticsの話題。説明されない専門用語も多発で、読むのはなかなか辛い。第三章が最高に面白い...